「横浜市所蔵カメラ・ 写真コレクション」

Gallery on the WEB

幻燈機



各種幻燈機

各種幻燈機
Magic Lanterns

幻燈機(Magic Lantern)は、主に燈油(石油)ランプを光源に、ガラス板に描いた絵をレンズを通して壁やスクリーンに映し出す器具で、現在の映画用映写機やスライド・プロジェクターの基礎になりました。
その歴史は17世紀後半のヨーロッパに遡り、古くはイエズス会の神父、アタナシウス・キルヒャー著の『光と影の大いなる術』(第2版、1671年発行)という書物に幻燈の原理に関する記述があります。炎に照らし出されて揺らめく幻想的な像は人々を魅了し、18世紀末に亡霊や悪魔、神話などを題材にした“ファンタスマゴリア”という幻燈ショーを生み出すなど、19世紀中頃まで最も人気のある娯楽の一つとなりました。
19世紀に写真が発明され、アメリカでランゲンハイム兄弟が写真のポジ像をガラス板に転写する技術を発表すると写真スライドが普及し、それまで娯楽的な要素の強かった幻燈の題材も科学研究・地理などの実用的な場面で活用されていくようになりました。娯楽としての幻燈ショーは、19世紀末の映画の発明とその普及とともに徐々に衰退していきますが、家庭用の、特に子ども向けにつくられたトイ・ランタンは20世紀に入っても人々に親しまれました。
《ファンタスマゴリア・ランタン》
ファンタスマゴリア・ランタン
ファンタスマゴリア・ランタン
Fantasmagorie Lantern

幻燈ショー用の幻燈機。スクリーンに近づけたり遠ざけたりして画像の大きさを変えられるように、初期は台車に載せて移動させる大型のものが使われていましたが、19世紀に入るとブリキ製の軽い手持ちのランタンが使われるようになりました。
目立たないように黒く塗られ、光が漏れないよう煙突が曲がっているなど、様々な工夫が見られます。
《サイオプティコン》
サイオプティコン
サイオプティコン
L.J.マーシー社 1869年頃

Scioptocon/L.J.Marcy/c.1869
1870年代にアメリカ、ヨーロッパで人気を博した「サイオプティコン」という幻燈機。
ランプの芯を並列させることによって光源が強くなるように工夫がされている他、赤と青のフィルターが内蔵されていたり、ランプを消さなくても金属板で光を遮断できるなど、凝ったつくりになっています。
フォルダーにセットされているのは幻燈機と同じ製作者によって作られた写真スライドです。
「家庭、日曜学校※、レクチャールームに」という宣伝文句が示すように、写真スライドの登場によって、幻燈機が家庭、教育現場、会議などいろいろな場所で、現代のスライド・プロジェクターのような用いられ方をするようになったことがわかります。

※日曜学校:キリスト教教会が、日曜などに教会に子どもを集めて行う教育活動。

幻燈機用スライド
《幻燈用スライド》
幻燈用スライドは主に手描きで、ガラスに透明の絵具で描かれていました。
複数の絵が組みになったストーリー仕立てのものが多く、テーマは、幻燈ショー用に幽霊、魔術など幻想的なものが好まれたほか、歴史・宗教・童話や、アルコール中毒などの社会問題を扱ったものもつくられました。
スーパーファイン・ランタン・スライド
1《スーパーファイン・ランタン・スライド》 
ゲブリューダー・ビング社

Superfine Lantern Slides/Gebrüder Bing
 可動式スライド 製作者不詳
2 可動式スライド 製作者不詳
Movable Slide
《ブラザーフッド・オブ・ザ・ユニオン》より
3 《ブラザーフッド・オブ・ザ・ユニオン》より 
Wm・ホーズマン社

Brotherhood of the Union/Wm. Horseman