「横浜市所蔵カメラ・ 写真コレクション」

Gallery on the WEB

ザ・コダック


《ザ・コダック》イーストマン乾板&フィルム社 1888年

ザ・コダック/イーストマン乾板&フィルム社/1888年

The Kodak/Eastman Dry Plate & Film Co./1888

現在、私たちはカメラのシャッターを押すだけで誰でも簡単に写真を撮ることができます。しかし、写真はその誕生からしばらくの間、難しい薬品処理や暗室作業を必要としたため、特別な技術を修得した人しか撮影を行うことができませんでした。カメラの発展の歴史は、どうしたらより簡単に撮影ができるか、人々が様々な試行錯誤を繰り返してきた歴史でもあります。

1888年、アメリカのイーストマン乾板&フィルム社(のちのコダック社)は、「あなたはボタンを押すだけ、あとは当社がやります」というキャッチフレーズとともに、あらかじめ100枚撮影できる紙ベースのロールフィルムを詰めたカメラ、“ザ・コダック”を発売しました。

このカメラを購入した人は、撮影終了後、中に入ったフィルムをカメラごとイーストマン社に郵送します。すると、イーストマン社がカメラの中からフィルムを取り出して現像・プリントし、1枚ずつ台紙に貼付けた写真と、新しいフィルムが詰められた“ザ・コダック”を購入者にまた送りました。当時、まだ取り扱いの難しいフィルムが普及していなかった広大なアメリカで、どこでも、専門技術のない人でも写真を撮ることを可能にしたこの画期的なシステムは、大成功をおさめました。

また、“ザ・コダック”は、多機能で凝ったデザインのガラス乾板カメラが多く作られていた当時にあって、非常にシンプルな機能とデザインを採用し、軽く、手持ちで「ボタンを押すだけ」で簡単に撮影ができたため、それまでカメラにあまり関わりのなかった女性や小さな子どもまで、全ての人が日常的な場面でカメラマンになることが出来るようになりました。“ザ・コダック”で撮影された当時のスナップ写真には、日々の生活の中で写真を撮る楽しさに目覚めた人々の喜びがあらわれています。

8-2

「ザ・コダックで撮影した写真」制作者・制作年不詳 鶏卵紙

8-3
「ザ・コダックキャンペーンバッジ」製作者・製作年不詳