「横浜市所蔵カメラ・ 写真コレクション」

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汚い坊主


『汚い坊主』

『汚い坊主(アルフレッド・テニスン)』ジュリア・マーガレット・キャメロン/1865年/鶏卵紙

The Dirty Monk(Alfred Tennyson)/Julia Margaret Cameron/1865/albumen print

イギリスのジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-1879)は、48歳の時に娘夫婦から写真器具一式をプレゼントされ、写真を始めました。キャメロンは、技術の習得が難しく手間を要する当時の湿板方式の写真術をほぼ独学で体得し、家族や親しい友人、サロンに集まる著名人などをモデルに、数多くの肖像写真を制作しています。右の写真も、キャメロンの友人で隣人でもあった桂冠詩人※、アルフレッド・テニスン(1809-1892)を写したもの。キャメロンが撮影したテニスンの写真は多く残されていますが、テニスンはこの写真を特に気に入り“The Dirty Monk(汚い坊主)“と名づけました。

キャメロンは肖像写真を撮る際、被写体を極端なクローズ・アップにし、レンズを開放絞りにして、7~8分もの長時間露光で撮影することによって、焦点のブレた柔らかいイメージをつくり出しました。その手法は、鮮明なことを良しとする当時の写真界とは対極をいくものでしたが、ラファエル前派などの絵画の影響を感じさせながらも、モデルの内面まで迫ろうとするまなざしは、独自の写真表現を獲得しています。

※桂冠詩人…イギリスで、王室が最高の詩人に与える称号。終身制で、テニスンは1850年にワーズワースの後を受けて任命された。