
2016年10月7日[金]~10月30日[日] ※10月24日[月]休館
10時~18時
横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1・2
入場無料
出品作家:岡田裕子/風間サチコ/金川晋吾/鈴木光/関川航平
主催:横浜市民ギャラリーあざみ野(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
プリント協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
後援:横浜市文化観光局、横浜アーツフェスティバル実行委員会
助成:
国内外で活躍する5作家の新作・初公開を含む作品を展示!
RCサクセションの代表作「スローバラード」(1976年 作詞:忌野清志郎[1951-2009]・みかん)の歌詞の一節に、「悪い予感のかけらもないさ」というフレーズがあることを教えてくれたのは、出品作家の関川航平でした。このささやかなラブソングの歌詞からは、悦びを肯定文で囁くのではなく反語めいた言葉にすることで、不安定な時期の若者の、いつこぼれ落ちるとも知れない束の間の「幸せ」を噛みしめるリアリティが沁み入るように伝わってきます。さらに、この歌がミュージシャン亡き後も多くのフォロワーによって歌い継がれ、関川をはじめ若いアーティストたちにも影響を与えていることから、パーソナルな独白ながら人々の強い共感を喚起していることがうかがえます。
この印象的な歌詞の一節を本展のタイトルとしたのは、ファシスト政権下で過酷な状況に追い込まれたイタリアの思想家アントニオ・グラムシの箴言とされる「知性のペシミズム(悲観主義)、意志のオプティミズム(楽観主義)」にも似たこのフレーズが、現代の社会、そして美術を取り巻く状況とそれに対する態度として有効と感じたからです。
美術の表現は圧倒的な自由によって支えられる環境が必要ですが、パーソナルなモノローグが喚起するような個の感覚を共有できなければ、「表現」が保証されることはないでしょう。一方、今この自由についての共通感覚が揺らいでいるのも確かです。全体が優先され、部分や個が排除される社会では、人間はもとより美術も生き難くなります。
本展では、アーティストが家族や身近な人々と共に生活世界で培ったパーソナルな感覚が、それぞれの表現手法を通して示されます。個から発せられた表現ながら、それらから共有できる、表現することの意味やその豊かさを改めて実感できる展示となるでしょう。
なお、本展は美術という枠や社会的評価にとらわれず、様々なジャンルのアーティストが行っている表現活動に目を向けた、現在進行形のアートを紹介するシリーズ展「あざみ野コンテンポラリー」の第7回目として開催するものです。
●本展のみどころ
1 現代社会をうつす注目の作品
気鋭の現代作家5人が、それぞれの表現媒体を通じ、透徹した眼差しによる批評性の高い作品約60点を出品します。
2 待望の新作や初公開作を多数展示
岡田裕子は、昨年東京都現代美術館に出品した《カラダアヤトリ~プロローグ》の本編にあたる、待望の新作映像インスタレーションを、鈴木光は、2011年の東日本大震災以来継続してきた《Fukushima Berlin》の最新作として短編映画をそれぞれ発表。風間サチコは、90年代の貴重な作品に加え、最新の「ラッダイト学園」シリーズを出品。写真集『father』の出版で話題となった金川晋吾は、2010年頃から撮影を開始した初公開となる新シリーズ《Kanagawa Shizue》を、斬新なパフォーマンスでも注目される関川航平は、”実際には存在しないモチーフ”を題材にした鉛筆絵画《figure》シリーズを深化させた新作を展示します。
3 無料パンフレット
作家によるテキストやインタビューを掲載した展覧会オリジナルパンフレットを先着で無料配布します。


左:岡田裕子 / カラダアヤトリ〈中部ジャワのボロブドゥール寺院、月夜のワイサック祭に来た人たちが…〉/ 2016 / ビデオ・インスタレーション
右:岡田裕子 / カラダアヤトリ~プロローグ / 2015 / インスタレーション風景(「ここはだれの場所?」展/東京都現代美術館にて)


左:風間サチコ / 獲物は狩人になる夢を見る / 2016 / 木版画(パネル、和紙、墨)/ 91.3x121cm
©Sachiko KAZAMA Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo:Kei Miyajima
右:風間サチコ / 水晶の夜 / 2016 / 木版画(パネル、和紙、墨)/ 121×91.3cm
©Sachiko KAZAMA Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo: Kei Miyajima


左:金川晋吾 / Kanagawa Shizue / 2012(2016 プリント)/ インクジェット・プリント
右:金川晋吾 / Kanagawa Shizue / 2012(2016 プリント)/ インクジェット・プリント


上:鈴木光 / We don’t have any common history. / 2016 / ビデオ / 7分8秒
協力:梶村昌世, Zentrum für Flüchtlingshilfen und Migrationsdienste (難民・移民支援センター)
下:鈴木光 / Fukushima Berlin 1(ドイツリヒテンベルク編)/ 2013 / ビデオ / 5分


左:関川航平 / Figure / 2016 / 紙、鉛筆 / 39.4×50.9cm
右:関川航平 / Figure / 2015 / 紙、鉛筆 / 39.4×50.9cm
●関連イベント
○アーティストトーク#1
10月8日[土]
13:00~14:00 関川航平
14:10~15:10 鈴木光
会場:3階アトリエ
定員:50名程度
※参加無料、要事前申込(先着順)
※保育あり
○アーティストトーク#2
10月9日[日]
13:00~14:00 風間サチコ
14:10~15:10 岡田裕子
15:20~16:20 金川晋吾
会場:3階アトリエ
定員:50名程度
※参加無料、要事前申込(先着順)
※保育あり
○展覧会を体験しよう!
「子どものための鑑賞会」
10月15日[土] 14:00~16:30
出品作《カラダアヤトリ》のワークショップをまじえながら、出品作家の岡田裕子さんと一緒に展覧会を鑑賞します。
講師:岡田裕子
対象・定員:小学3~6年生20名
※参加無料、要事前申込
○ワークショップ
「木版画で実現?ドリームハウス」
10月22日[土]
10:30~16:30(昼休憩あり)
木版画で夢のお家をみんなで作ります。素敵な家にあんな家具、こんな家電、かわいいペット!木版画を切って貼って完成させよう!
講師:風間サチコ
会場:3階アトリエ
対象・定員:小学5年生以上20名
参加費:500円(材料費込)
※要事前申込
※保育あり
○学芸員によるギャラリートーク
10月16日[日]、10月30日[日]
各日14:00~14:30
会場:展示室1・2
※参加無料、申込不要
○アートなピクニック
―視覚に障がいがある人とない人が共に楽しむ鑑賞会―
10月29日[土] 14:00~16:30
視覚に障がいがある人もない人も、共に見て語らいながら展覧会を楽しみませんか?
対象・定員:視覚に障がいがある人10名
視覚に障がいのない人15名
※参加無料、要事前申込(応募者多数の場合抽選)
※最寄のあざみ野駅までお迎えが必要な方は申込時にご相談ください。
※保育あり
○緊急アーティスト・トーク
金川晋吾 × 石川竜一
10月30日[日]
18:00~19:30(開場17:30)
現在、横浜美術館、横浜市民ギャラリーあざみ野では、それぞれ現代美術のグループ展「BODY/PLAY/POLITICS」(2016年10月1日[土]~12月14日[水]、あざみ野コンテンポラリーvol.7「悪い予感のかけらもないさ」展(2016年10月7日[金]~10月30日[日]を開催しています。それぞれに取り上げた作家の中で、石川竜一氏(横浜美術館出品作家)、金川晋吾氏(横浜市民ギャラリーあざみ野出品作家)は、異なる視点ながら「人間」の本質に迫る写真を展示しています。一見両者の間に関係がないように見えますが、人の生き方、家族との関係等、今我々が向き合わなければならない幾つかの課題を浮上させています。
今回、この二人の写真家がそれぞれの立場で向き合う写真について、そして撮影の対象となった人々について語りあう会を企画しました。
出演:金川晋吾、石川竜一
会場:3階アトリエ
定員:80名
※参加無料、申込不要(直接会場にお越しください)
※当日16:00より横浜市民ギャラリーあざみ野
展示室1受付にて整理券を配付します。
※当日、展示室は18:00閉場となりますので
ご注意ください。
【イベントのお申込方法】
必要事項を明記の上、
「往復はがき」「ホームページの申込みフォーム」「直接来館(アートフォーラムあざみ野2階事務室)」
のいずれかでお申込みください。
・応募は1人1講座につき1通とします。複数のプログラムに参加ご希望の方は、お手数ですが別々にお申込みください。
・「子どものための鑑賞会」のみ対象年齢が該当するきょうだいは連名でお申込みいただけます。
・締切後、抽選結果にかかわらず、みなさまにご返信いたします。
・視覚に障がいがある方で、上記の方法でのお申込みが難しい場合はご相談ください。
・締切を過ぎても定員に満たない場合は先着順で電話申込を受け付けます。
・提供された個人情報は今回の事業実施のためだけに使用し、その他の目的で使用することはありません。
「ご希望のプログラム名」「名前(ふりがな)」「住所」「年齢か学年」「電話番号/FAX番号」
※アートなピクニックにお申込みの方は「視覚障がいの有無」「送迎の希望の有無」
【お申込み・お問合せ】
〒225-0012 横浜市青葉区あざみ野南1-17-3 アートフォーラムあざみ野内
横浜市民ギャラリーあざみ野 企画展担当
TEL 045-910-5656 / FAX 045-910-5674
[保育について]
お子さんをあずけて、安心して講座に参加できます
講座時間中に主催事業保育料金にて1階の保育室(予約制、対象年齢:1歳6カ月~未就学児)をご利用いただけます。
詳細はアートフォーラムあざみ野 子どもの部屋 TEL:045-910-5724までお問い合わせください。

岡田裕子 OKADA Hiroko
東京都生まれ。1993年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。現代社会へのメッセージ性の高い美術作品を制作。ミヅマアートギャラリー(東京)を中心に、個展のほか、「Global Feminisms」(Brooklyn Museum/2007)、「VIDEO FORMES」(フランスでの映像祭/2009)など国内外で展覧会多数。近年では家族ユニット“会田家”として「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(東京都現代美術館/2015)に参加。オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」を主宰するなど多岐にわたる活動を続けている。
http://mizuma-art.co.jp/artist/0070/

風間サチコ KAZAMA Sachiko
東京都生まれ。1996年武蔵野美術学園版画研究科修了。「現在」起きている現象の根源を「過去」に探り、「未来」に垂れこむ暗雲を予兆させる黒い木版画を中心に制作する。近年の主な展覧会に、「We can make another future: Japanese art after 1989」(クイーンズランド州立美術館/2014)、「魅惑のニッポン木版画」(横浜美術館/2014)、「2015 Asian Art Biennial: Artist Making Movement」(国立台湾美術館/2015)など。2016年秋には「11th Gwangju Biennale」(韓国)に参加。
http://www.mujin-to.com/artist_kazama.htm

金川晋吾 KANAGAWA Shingo
京都府生まれ。2006年神戸大学発達科学部人間発達科卒業。2015年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。失踪を繰り返す父親を被写体に、人間存在の本質を見つめ続け、写真集『father』(青幻舎)を撮影を始めてから8年を経た2016年に出版した。主な個展に、「home for the aged」(介護付有料老人ホームグリーン[秋田]/2013)、グループ展に、「STANCE or DISTANCE? わたしと世界をつなぐ「距離」」(熊本市現代美術館/2015)など。
http://kanagawashingo.com/

鈴木光 SUZUKI Hikaru
福島県生まれ。2008年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。2011年情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了。ベルリン芸術大学メディア芸術学科ニナフィッシャークラス・ゲストスチューデント。ドイツ・日本などの土地、距離、間隔にフォーカスした映像作品の制作を行う。2015年ヨーロッパで最も大きな日本映画祭・ニッポンコネクション(フランクフルト)で特集上映「Hikaru Suzuki film special」が行われるなど国内外での上映会多数。
http://hikarusuzuki.tumblr.com/

関川航平 SEKIGAWA Kohei
宮城県生まれ。2013年筑波大学芸術専門学群特別カリキュラム版画コース卒業。パフォーマンスやインスタレーションなど様々なアプローチで制作を行い、作品を介して起こる意味の伝達について考察している。「横浜ダンスコレクションEX2014 新人振付家部門」(横浜赤レンガ倉庫1号館/2014)ファイナリスト、「ゲンビどこでも企画公募2014」(広島市現代美術館/2014)八谷和彦賞・観客賞、「第14回グラフィック 1_WALL」(2016)グランプリを受賞。
http://ksekigawa0528.wix.com/sekigawa-works