あざみ野カレッジ「東京湾とともに」を開催しました。

9月23日、あざみ野カレッジ「東京湾とともに-横浜から広がる江戸前の再生」を開催しました。

今回の講師は、東京湾をはじめ国内外の海辺で、
海と人を結びつけるべく活動する木村尚さん。

木村さんは、あざみ野からほど近い港北区のご出身。
講座開始前には、以前はあざみ野は原っぱでいっぱいだったことや、
現在出演中のTV番組のお話など、親しみやすいお話で会場を盛り上げてくれました。

さて、今回のお話のテーマはタイトルの通り東京湾。
冒頭で映し出されていたのは、海草の鮮やかな緑色が映えるきれいな海中の写真。

これは、横浜市内にある野島の海の中で撮られたもので、
「こんなにきれいな海が、横浜の東京湾には今あるんです。」
と木村さんは紹介します。

***
木村さんが目指すのは、子どもたちも楽しめる豊かな東京湾。
高度成長期の頃と比べきれいになってきているものの、
流入する河川流域も含め3,000万人以上の人の生活が影響する東京湾には、
取り組まなければならない難題は多い、と木村さんは話します。


例えば赤潮・青潮といった海中の酸素不足を引き起こす現象や、
港湾開発により、横浜の自然海岸は全海岸線の1%にも満たなくなったこと。
それにより「江戸前」として名高かった豊富な魚介類にとって、
生活の場を狭められただけでなく、産卵や稚魚が成長するための場所がなくなり、
アオギスやアサクサノリなど、東京湾を代表する生き物も
絶滅してしまった可能性が高いそうです。

また生物だけではなく、海と人が育んできた文化も衰退することに。
かつて盛んだった横浜港での潮干狩りの場は失われ、
珍しい海中を進むお神輿もその伝統が途切れました。

かつて潮干狩りなどでにぎわっていた横浜港(山下公園付近)

木村さんはこう話します。
「環境悪化ももちろんですが、豊かな環境が失われた結果、
人の心が海から離れてしまったことも大きな問題」

そんな中取り組んだのは「アマモ」という海草の植樹。
アマモは東京湾をはじめ浅場に広く分布している植物で、
海中に酸素を供給したり、海の生き物の産卵・成長の場所にもなります。

アマモの種子

講座冒頭で紹介された野島の海中風景も、これを植え続けたことによるもの。
横浜の海で最初たった5人で始めたというこの活動は、
海に生物を呼び戻すとともに、やがて日本各地に広がる大きな輪となりました。


植樹されたアマモに集まる魚たち


産卵にアマモ場を訪れたイカ。野島では子どもでもこうしたイカが手づかみできることもあるそう。


地域の子どもたち、そして地元企業も協力した活動。

***
木村さんが携わった活動はその他にも、
みなとみらい周辺での、赤潮を抑える働きを持つワカメの栽培ワークショップや、
お台場に住む子どもたちを対象とした海辺体験やノリづくり
(ちなみに千葉と東京の漁師が協力したのはこの時歴史上初だったとのこと)、
干潟の機能に近い海岸づくりなど、枚挙にいとまがありません。

そうした活動は、地域の方々はもちろん、漁業関係者、行政、企業に次第に広がり、
さらには日本各地で「アマモサミット」が開催されるほか、
時には海外からの視察に訪れることもあるそうです。


海辺つくりを続ける中で木村さんが感じているのは、
海の再生は、地域・コミュニティの再生につながるということ。
海を通じて、人間同士の付き合いが始まり、
そこから活動も仲間も広がっていく。
海に囲まれた日本では、海という大きな資源があるということを
改めて考えさせられる2時間でした。

***
真面目な話の中にもユーモアもいっぱいで、
木村さんのサービス精神がかいま見られた今回の講座。
質疑応答の時間では、たくさんの質問が寄せられました。


しかも質問した受講生には、なんと木村さんが執筆に参加した書籍をプレゼント。
忙しいご活動の中、素敵なお心遣い本当にありがとうございました!

《こぼれ話》
木村さんのお人柄が伝わるお話をひとつ。木村さんが事務局長を務める海辺つくり研究会はNPO法人ですが、
木村さんいわくNPOとは「Nonbe Profesional Ojisan Obasan(プロ呑兵衛のおじさん・おばさんたち)」とのこと。
活動の輪を広げる秘訣は、お酒も手伝ったコミュニケーションにあり!?

***
さて次回のあざみ野カレッジは、11月15日(土)「ヨガで体感! 北斎漫画!」を開催します。

最も有名な浮世絵師のひとり葛飾北斎によるイラスト集、
「北斎漫画」から着想を得た「北斎ヨガ」を体験するとともに、
ユニークなイラスト満載の「北斎漫画」の背景にも迫ります。
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