2012年の沖縄の本土復帰40年にちなんで、2011年にはさがみはら写真賞を受賞するなど、近年その活躍にますます注目が高まる写真家・石川真生の個展を開催します。
石川は沖縄に生まれ、沖縄の本土復帰(1972年)の前年に起こった返還協定に反対するデモに参加し、火炎瓶に当たった機動隊員が焼死するのを目撃した体験から「沖縄を表現するために写真家になる」と決意。以来、一貫して沖縄を撮り続けています。
本展は、長い封印を経て再び発表されるデビュー作《熱き日々 in オキナワ》(1975‐1977年)と、初公開となる《沖縄芝居》(1989-1992年撮影・2012年プリント)、そして最新作の《森花-夢の世界》(2012年)で構成します。《熱き日々 in オキナワ》は、石川が沖縄の外人バーに勤めながら、米兵と日本人女性の生活を生き生きと捉えた写真群、《沖縄芝居》は、ライフワークで撮り続けている沖縄の芸能を支える人々の肖像写真です。《森花-夢の世界》では、沖縄出身の森花との共同作業によって、彼女が夢にみた世界を石川が引き出し、撮影しています。
これら3つのシリーズは撮影された時代も作品の性質も異なりますが、石川が沖縄の人々に注ぐ熱いまなざしは、写真家への決意から40年を経ても決して変わることがありません。自らの生き方を通して表現し続ける写真家・石川真生の作品世界をご堪能ください。
主な著書
『熱き日々inキャンプハンセン!!』(比嘉豊光との共著、あーまん企画、1982年)
『港町エレジー』(自費出版、1990年)
『仲田幸子一行物語』(自費出版、1991年)
『沖縄ソウル』(太田出版、2002年)
『LIFE IN PHILLY』(Gallery OUT of PLACE 、ZEN FOTO Gallery、2010年)
『FENCES,OKINAWA』(未来社、2010年)
新井卓(あらいたかし)
1978年川崎市生まれ、写真家。写真黎明期の技法・ダゲレオタイプ(銀板写真)を独自に習得し制作活動を展開、内外の美術館・ギャラリー等で作品を発表しつづけている。
主な個展に、横浜美術館「鏡ごしのランデヴー/Rendezvous on Mirror」(2006)、川崎市市民ミュージアム「夜々の鏡/Mirrors in Our Nights」(2011)、「Dream of Images」 泰吉轩(2011)北京、大阪・銀座(巡回)ニコンサロン「Here and There – 明日の島」(2012)、原爆の図丸木美術館「福島からひろがる視線2 MIRRORS HALF ASLEEP 新井卓銀板写真展」(2012)ほか多数。2012年には国立近代美術館「写真の現在4 そのときの光、そのさきの風」に参加した。