横浜市民ギャラリーあざみ野 | Yokohama Civic Art Gallery Azamino

モダン・エイジのカメラとデザイン[Gallery on the WEB vol.72]

No.1A ギフト・コダック/イーストマン・コダック・カンパニー/1930年

No.1A ギフト・コダック/イーストマン・コダック・カンパニー/1930年
コダック・バンタム・スペシャル/イーストマン・コダック・カンパニー/1936年
ニューヨークに摩天楼が現れた1920~30年代、工業の近代化を背景に、機械生産が可能でありながら、かつ実用的で、美しいデザインが工業製品に求められるようになりました。そこで、〝インダストリアル・デザイナー〟という新興の職業人が現れ、企業に手工芸的な美意識から脱却した新しいデザインの提言をするようになっていきます。

ウォルター・ドーウィン・ティーグ(1883-1960)も最初期のインダストリアル・デザイナーとして活動をはじめた一人です。もともと広告デザインの仕事をしていたティーグは、1927年にイーストマン・コダック社の依頼を受けてカメラのデザインを始めます。関わり始めた当初の「No.1Aギフト・コダック」には、箱とプレートにアール・デコ調の装飾を施すだけにとどまっていますが、1936年発売の「コダック・バンタム・スペシャル」では、流線型の薄型ボディでカメラをコンパクトにするとともに、黒いエナメル塗装の面積を小さくすることによって塗装が剥がれにくくするなど、洗練と実用性を兼ね備えたデザインを実現しています。

ティーグがカメラにも取り入れた流線型のデザインは、もともと乗り物の空気抵抗を減らすために提案されたもので、当時未来的なモチーフとして大流行しました。1929年から始まった世界恐慌の中でデザイナー達が示した新しいヴィジョンは、人々の希望に応え、モダン・エイジの新しい美意識を確立していきました。

*情報誌『アートあざみ野 vol.20』(2011年7月10日発行)「Gallery on the Magazine vol.16」より転載
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