オートクローム[横浜市所蔵カメラ・写真コレクション]
題不詳/制作者不詳/1910年頃/オートクローム
題不詳/製作者不詳/1910年頃/オートクローム
シネマトグラフの発明者として有名なフランスのオーギュスト・リュミエール(1862-1954)とルイ・リュミエール(1864-1948)が、カラー写真の技術も開発していたことをご存じでしょうか。リュミエール兄弟が開発に取り組む前にもカラー写真の技術はありましたが、当時のカラー写真は三色のフィルターを通じて三色分解された三枚のモノクロネガを制作し、そのイメージを三色の顔料で印画するなど様々な方法で再び重ね合わせてカラーのイメージを再現するもので、特殊な撮影装置や技術が必要でした。そこで、二人は研究を重ね、1907年に「オートクローム・リュミエール」というカラー写真乾板を発売します。これは、ガラス板に赤、緑、青の染料で着色したジャガイモのでんぷんを混ぜたものを塗布し、一枚のガラス上に三色分解のスクリーンをつくり、その上に感光乳剤を塗った製品で、撮影後は反転現像処理をすれば、そのままカラーのポジ像を鑑賞することができました。この新しい製品は、特殊な装置を必要とせず、箱から取り出してそれまで使用していたモノクロ乾板用のカメラにセットするだけで撮影できたことなどから、カラー写真の撮影をアマチュアにも可能にしました。複製や紙焼きが出来ない、モノクロよりコストがかかるなどの理由から、一部の写真家や、アマチュアの趣味での利用にとどまりましたが、カラーフィルムが発明されるまでの実用的なカラー写真技術として、世界の色彩を鮮やかにとらえました。
*情報誌『アートあざみ野 vol.45』(2017年9月27日発行)「Gallery on the Magazine vol.41」より転載
*情報誌『アートあざみ野 vol.45』(2017年9月27日発行)「Gallery on the Magazine vol.41」より転載