シグリスト・ステレオ
シグリスト・ステレオ/S.O.L.社製
1898年

Sigriste Stereo/S.O.L./1898
1870年代に開発された乾板写真は、動くものを容易にとらえることができるほど感度が高く、感光板(の扱い)も扱いやすくなったため、それまでレンズの付いた単純な箱に過ぎなかったカメラのデザインを一新しました。瞬間的に光の量を調節するシャッターをはじめ、カメラには便利な機能が次々とつき始めましたが、デザイン面でも凝ったものが出てきました。独自なセンスが光るフランスのカメラでは、「ジュメユ」と呼ばれるレンズ側がボディに対して細くなっているスタイルが19世紀末から20世紀はじめにかけて流行しました。中でも「シグリスト」は個性的なルックスに加えシャッターに特徴があり、何段階もの高速スピードが選べます。立体写真※を撮影する珍しいバージョンの「シグリスト・ステレオ」は、シャッター・スピードが2000分の1秒まで切れ、「歩く人」「走る馬」「自動車」「飛ぶ鳥」などのガイド表示が本体下部に付いています。 阿部聡子(写真史研究家)
※同じ被写体をわずかにずれた角度から2枚撮影し、それを並べて左右の視差によって立体的に見る写真。ステレオ写真ともいう。
※同じ被写体をわずかにずれた角度から2枚撮影し、それを並べて左右の視差によって立体的に見る写真。ステレオ写真ともいう。