横浜市民ギャラリーあざみ野 | Yokohama Civic Art Gallery Azamino

ベルンポール三色分解カメラ[Gallery on the WEB vol.53]

ベルンポール & カンパニー/1930年頃

ベルンポール三色分解カメラ/ベルンポール & カンパニー/1930年頃
 カラーフィルムが未発達な20世紀初頭、カラー印刷やカラー写真制作のために、被写体の持つ色彩をシアン、マゼンタ、イエローの三色に分解して撮影したモノクロネガが使用されていました。三色分解ネガを撮影するために用いられていたのが、カラーフィルターを内蔵した三色分解カメラです。

 イエロー版用ネガを得るための青フィルター、マゼンタ版用ネガを得るための緑フィルター、シアン版用ネガを得るための赤フィルターを通して、それぞれの色光を透過させて三種のモノクロネガを撮影するという仕組みです。出来上がった三種のネガから各色のカラー原版を製版し、重ねて印刷するなどして色彩を再現します。

 三色分解カメラは様々なアイデアが試されましたが、レンズから入った光を、半透鏡(ハーフミラー)やプリズムを使ってカメラ内部で三方向に分けるビームスプリッター式と呼ばれるカメラが実用に至りました。ドイツの科学者、アドルフ・ミーテ(1862-1927)がデザインし、1930年頃に発売されたベルンポール三色分解カメラもその一つです。

 カメラ内部に位置と角度の異なる二枚の半透鏡を置くことによって光を三方向に分ける仕組みで、その実用性でプロの現場で活用されました。日本にも輸入され、20世紀後半まで印刷製版の現場などで使用されています。

*情報誌『アートあざみ野 vol.57』(2020年12月末発行)「Gallery on the Magazine vol.53」より転載
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