横浜市民ギャラリーあざみ野 | Yokohama Civic Art Gallery Azamino

『自然の鉛筆』[横浜市所蔵カメラ・写真コレクション]

ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット
1841年

『自然の鉛筆』
「開いた扉」(『自然の鉛筆』より)/ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット著、ロングマン・ブラウン・グリーン&ロングマン出版/1844~46年
The Open Door; The Pencil of Nature/William Henry Fox Talbot/Longman Brown Green & Longmans/1844-1846
最初に普及した写真技法、ダゲレオタイプ※が焼き増しのできない1点ものの写真術であるの対し、イギリスのウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット(1800-1877)が1841年に特許を取得したカロタイプは、一枚の紙ネガから複数のプリントを生み出すことのできる写真術でした。画像の鮮明度、耐久性には欠きましたが、現在でも使用されている〝ネガを使った写真術〟の先駆けとなる重要な発明でした。
タルボットはカロタイプを使って、1844~1846年に『自然の鉛筆』と題した世界で最初の写真集を出版します。6巻に分けて刊行された写真集の中には、タルボットの住むレイコック・アビーの風景、所有する工芸品や彫刻、人物、版画の複写など、様々な被写体を写した24枚のカロタイプが貼り付けられ、解説が添えられています。タルボットはこの写真集で、正確な記録性によって視覚イメージを多くの人が共有できる、写真というニューメディアの可能性を、生き生きと伝えています。
※ ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(1787-1851)が1839年に公表した写真術。銀メッキした銅板に感光処理をして画像を形成させる。
一覧ページへ戻る