子どものためのカメラ[Gallery on the WEB vol.67]
ハーゾーグ・アマチュア・カメラ/ハーゾーグ社/1876年


左:ハーゾーグ・アマチュア・カメラ/ハーゾーグ社/1876年
右:スチューデントNo.1/スチューデント・カメラ社/1880~90年代
右:スチューデントNo.1/スチューデント・カメラ社/1880~90年代
子どものためのカメラは、取扱いの楽なガラス乾板の誕生で飛躍的にアマチュアカメラマンの増えた、1870年代に登場します。アメリカ製のハーゾーグ・アマチュア・カメラは、カメラと乾板、現像用の薬品類が一つの箱にキットになった遊び心をくすぐるカメラ。シンプルなつくりながら、後ろに取り外し可能なプレート・ホルダーが付いています。一方、スチューデント1号は、黒い木製の箱の前部に、絞りを調節するための孔の開いた金属板が付いただけ、中も乾板を収める溝が付いただけのカメラです。ファインダーも無く、目測で撮影範囲を決めていました。価格は、この時代の代表的なアマチュア用カメラであるイーストマン乾板&フィルム社のザ・コダック(1888年発売)が25ドルだったのに対し、2ドル5セントという安さ。あまりにも軽いつくりのため、マニュアルには「風が吹いた時には、安定させるために上に石を置いてください」と記載されていました。これらのカメラは、精密カメラで撮るような高画質なイメージは得られないかもしれませんが、それまでカメラに手の届かなかった子どもたちにも、写真家気分を味わいながら写真を撮る楽しさを教えてくれるものでした。
*情報誌『アートあざみ野 vol.28』(2013年7月5日発行)「Gallery on the Magazine vol.24」より転載
*情報誌『アートあざみ野 vol.28』(2013年7月5日発行)「Gallery on the Magazine vol.24」より転載